2011年10月12日更新

Lebesgue非可測集合の存在

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Lebesgue測度の性質 実数直線RのLebesgue測度をμで表すことにする.

  1. E, Fが可測集合で E⊂F となるときμ(E)≦μ(F)
  2. 互いに交わらない可算個の可測集合E_1, E_2, …に対しμ(∪_k E_k)=Σ_k μ(E_k)
  3. 可測集合Eと実数xに対し E+x := { y+x | y∈E } と置くときμ(E+x)=μ(E)
  4. μ(R) = ∞

これらの性質と選択公理を使って,非可測集合が存在することを示す.

定理 Lebesgue非可測集合(⊂R)が存在する

証明 R/Q を考える.

R上の同値関係~を

x~y ⇔ x-y∈Q

で定義する.この時 R/Q := R/~である.

R/Q の元は R の部分集合である.同値類の性質より,これらの元は互いに交わらない.よって選択公理により各元 A∈R/Q から1つずつ実数 x(A) を選べる.この時,A∩[0, 1]≠∅ だから,x(A)∈[0, 1] となるように選ぶことができる.

正確に言えば,集合 X := { [0, 1]∩A | A∈R/Q } に選択公理を適用するということ.

V := { x(A) | A∈R/Q } とおく.x(A)の選び方により V⊂[0, 1] である.

V がLebesgue可測だと仮定する.正整数 k に対し V_k := V + 1/k と置く. Lebesgue測度の性質によりμ(V)=μ(V_k).また,k≠lならばV_k∩V_l = ∅ である.

x∈V_k∩V_l とするとある実数 y, z∈V が有って x = y+1/k = z+1/l.よってy-z∈QだからVの定義より y=z,よって 1/k = 1/l である.即ち k=l.

また,明らかに V_k⊂[0, 2] である.故に正整数 n に対し

nμ(V) = Σ_{k=1}^n μ(V_k) = μ(∪_{k=1}^n V_k)≦μ([0, 2]) = 2.

nはいくらでも大きく取れるからμ(V)=0でなければならない.

さて,Vの定義より R=∪_{q∈Q}(V+q) (disjoint union) と書けるが,Qは可算集合だから

∞ = μ(R) = μ(∪_q (V+q)) = Σ_q μ(V+q) = Σ0 = 0

となり矛盾する.故にVはLebesgue非可測である.

参考文献

コメント

匿名希望 | 2016年3月 1日 19:42

Hamel基底から証明するアプローチは無いのでしょうか。

坪井雅人 | 2016年3月30日 09:49

前略
壱代整域殿、福島原発収束と関る私の知財との関連で私作成の簡易ホームページ→http://www.maroon.dti.ne.jp/atnep/ にて`核物質の計測,2015´とした欄で引用させて頂きました。種々の理由で連絡が遅れ申し訳有りません。数学的な検討ではなく、係る仮想的検討で最もイメージが近いと判断し紹介させていただきました。現在(2016)、事故収束が遅れ、緊急発言-3の欄で英訳での表題部紹介を試みましたが、キーボードでの記号返還が出来ず一部英文説明にて記号の内容を不可説明で補いました。私は、数学/科学の専門家ではないので、総ての適用における検討や数学的詳細を行う知識と時間がなく現在もそれは同様です。~遅ればせながら、ご連絡まで~

坪井 雅人 | 2016年5月17日 17:21

2016年3月30日09:49とし、コメント掲載されている坪井です。記載コメント一部‛不可説明’➔‛付加説明’の誤記載へ訂正の御連絡が遅れました。将来的展望の広さに期待申上げます。 

初心者 | 2016年6月10日 11:27

最後の「Vの定義より R=∪_{q∈Q}(V+q) (disjoint union) と書けるが」のところが,どうして書けるのかが分かりません.

任意のa∈[0,1]を選んできた時に,あるA∈R/Qが存在して,a∈Aですから,xをx(A)=aとなるように選べば,a∈Vとなることは分かります.しかし違うxを選べばa∉Vかもしれません.ですので任意のa∈[0,1]を選んだときにa∈Vとなるかどうかはxの選び方に依存します.

もし R=∪_{q∈Q}(V+q) であるとすれば,任意のa∈Rに対して,あるq∈Qが存在してa∈V+qでなければなりません.Vを作る時のxの選び方によっては当然a∈V+qとはなりますが,選び方によってはa∉V+qのようになるかもしれないのですがどうでしょうか.理解が足りないでしょうか?

管理人 | 2016年6月11日 20:42

一言でいえば商集合の定義から自明となります。

おっしゃる通り、任意のa∈Rに対して、あるA∈R/Qが存在してa∈Aです。x(A)の定義から x(A)∈A でもあるので、a~x(A) が分かります。~の定義から a-x(A)∈Qです。つまりq∈Qをうまく取ってa=x(A)+qとできます。x(A)∈Vなのでa∈V+qです。

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