2012年2月 6日更新

位相空間のコホモロジー

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定義 Xを集合,Gを群とする.次の条件を満たす(T, p)をX上のG-torsorという.

  1. p: T→X は全射である.p を射影という.
  2. G は T に右から作用する.g∈G の t∈T への作用を tg で表す.
  3. 任意の t∈T と g∈G に対し p(tg) = p(t).
  4. p(t) = p(s) を満たす t, s∈T に対し,ある g∈G が一意に存在して s = tg となる.

T := X×G, p(x, g) := x, (t, g)h := (t, gh) と定めれば (T, p)はX上のG-torsorになる.

定義 G-torsor (T, p), (T', p') が同型
⇔全単射 T→T'で射影と群作用と可換になる (即ち p'(f(t))=p(t) かつ f(t)g=f(tg) ) ようなものが存在する.

定義 X 上の G-torsor の同型類がなすクラスを H1(X, G)と書く.

先のにより X 上の G-torsor は少なくとも一つ存在するから,H1(X, G)≠ ∅ が分かる. G-torsor X×G が属する同型類を 1 で表すことにする.即ち 1∈H1(X, G).

定理 選択公理 ⇔ 任意の集合 X と任意の群 G に対して H1(X, G) = {1}

証明(⇒) (T, p) を X 上の G-torsor とする.(T, p) が X×G と同型であることを示せばよい. p は全射だから選択公理によりある写像 s: X→T が存在して ps=idX を満たす.このとき f: X×G→T を f(x, g) := s(x)g で定義すれば f は同型である.

(←) {X_λ}_{λ∈Λ}を互いに素な非空集合の族とする. ある集合 S が存在して任意のλ∈Λに対し |Xλ| = |S| であると仮定してよい.

集合に関する命題定理1を参照.

G を S の置換がなす群として, Tλ := { t: S→Xλ | tは全単射 } ≠ ∅ , T := ∪λ∈Λ Tλ と置く. G は T に tg := tg によって作用する. 射影 p: T→Λ を Tλ の元をλ∈Λへ写す写像とすれば, (T, p) はΛ上の G-torsor である. 仮定により同型 f: T→Λ×G が存在する. 今 s: Λ→T を s(λ) := f-1(<λ, idS>) で定めると fが同型であることから s(λ)∈Tλ である. そこで元 a∈S を一つ取り,φ: Λ→∪_{λ∈Λ}X_λ を φ(λ) := s(λ)(a) で定めればφが選択関数である.

定理 選択公理 ⇔ 任意の集合 X と任意のアーベル群 G に対して H1(X, G) = {1}

証明(⇒) 明らか.

(←) 選択公理と同値な次の命題を示す.

集合族{X_λ}_{λ∈Λ}が「任意のλ∈Λに対し|Xλ|≧2」を満たすとするとき,
Λ上の写像 f が存在して,任意のλ∈Λに対し f(λ) ⊊ Xλ かつ 0<|f(λ)|<∞ .

the Axiom of Multiple Choiceの定理2を参照.

{X_λ}_{λ∈Λ}を「任意のλ∈Λに対し|Xλ|≧ 2」を満たす集合族とする. {X_λ}_{λ∈Λ}は互いに素としてよい. X:=∪_{λ∈Λ}X_λと置いて, G を X で生成される自由アーベル群とする.即ち任意の元 g∈G は

g = Πx∈Xxn(g, x), n(g, x)∈Z, 有限個の x∈X を除いて n(g, x)=0

と表示される.λ∈Λに対して n(g, λ) := Σx∈Xλ n(g, x) と定める.

H := { g∈G | 任意のλ∈Λに対して n(g, λ)=0 }
Tλ := { g∈G | n(g, λ)=1,任意のμ≠λに対して n(g, μ)=0 }

と置けば H⊂G は部分群で,乗法により H は Tλに作用する. T := ∪λ∈Λ Tλとして,射影 p: T→Λ を Tλ の元をλ∈Λへ写す写像とすれば,(T, p) はΛ上の H-torsor である.仮定により同型 g: T→Λ×H が存在する. 今 e∈H を単位元として s: Λ→T を s(λ) := -1(<λ, e>) で定めると g が同型であることから s(λ)∈Tλ である. f(λ) := { x∈Xλ | n(s(λ), x)>0 } と置く. s(λ)∈Tλ だから Σx∈Xλn(s(λ), x) = n(s(λ), λ) = 1,故に f(λ)≠ ∅ である.また n(s(λ), x)≠0 となる x∈Xλ は有限個だから |f(λ)|<∞ となる.更に,|Xλ|≧2 だから,f(λ) ⊊ Xλであることも分かる. 故にこの f が条件を満たす.

参考文献

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