2012年2月17日更新

the Axiom of Multiple Choice

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定理1 Xは ¬∅∈X なる集合を表すとし,λは基数を表すとする.MC(X, λ)で命題

X上の写像fが存在して,任意のx∈Xに対し f(x)⊂x, 0< |f(x)| <λ を満たす

を表すことにする.mを2以上の整数とするとき,次の命題は(ZF上)同値.

1. 選択公理
2(m). 任意の X に対し MC(X, m)
3. ある m≧2 が存在して任意の X に対し MC(X, m)
4. 任意の X に対しある m≧2 が存在して MC(X, m)
5. 任意の X に対し MC(X, ) (the Axiom of Multiple Choice)

証明 1⇔2(2) と 2(m)⇒3 と 3⇒4 と4⇒5は明らか.m≦nに対し 2(m)⇒2(n) も明らか.なので 5⇒1 を示せばよい.その為に,選択公理と同値な命題「任意の順序集合(x, ≦)は極大反鎖を持つ」を示す.

y⊂(x, ≦)が反鎖 ⇔ yの任意の異なる2元が比較不可能
証明はZornの補題・極大原理の定理1を参照.

(X, ≦)を順序集合とする.P := P(X)\{∅},Q := { Y∈P | Yは有限集合 } と置く.P に仮定を適用して f: P→Q を得る.Y∈P に対し f(Y)⊂Y である.g(Y) := { a∈f(Y) | aは(f(Y), ≦)の極小元 } と置けば,各 g(Y)⊂X は反鎖で,∅ ≠g(Y)⊂Y である.反鎖 K に対し Y(K) := { x∈X\K | K∪{x}は反鎖 } と定義する.

Xが極大反鎖を持たないと仮定すると,各 Y(K) は空でない.¬א≦|P(X)|となる最小のアレフאを取る.写像 h: א→P(X)を

h(α):=∪_{β<α}h(β)∪g(Y(∪_{β<α}h(β))t)

と定義すると,これは単射になるので矛盾する.故にXは極大反鎖を持つ.

「AMC(=the Axiom of Multiple Choice)⇒AC(=選択公理)」の証明に使われている命題を追っていくと,AMC⇒ACのこの証明には基礎の公理が使われていることが分かる.実は基礎の公理を仮定しない場合,AMC⇒ACは証明できないことが知られている.一方,定理における4⇒1は基礎の公理無しで証明することができるので,その証明を書いておく.

証明 選択公理と同値な次の命題を示す.

任意の集合 X に対しある正整数 m が存在して
ある順序数αとα上の関数fが存在して ∀β<α(|f(β)|≦m) かつ X=∪β<α f(β)

整列可能定理についての定理5の条件4のこと.証明は整列可能定理についての一番最後を参照.

Xを任意の集合として P0(X) := P(X)\{∅} と置く. 仮定(定理の条件4)によりある正整数mとある関数 g: P0(X)→P(X) が存在して 任意の Y∈P0(X) に対し g(Y)⊂Y, 0 < |g(Y)| < m+1 を満たす. ¬U⊂X となる集合 U を一つ取り,g(∅) := Uと定義しておく. アレフאで,¬א≦ |P(X)| となるものが存在するので,その様なאのうち最小のものを取る. 順序数α<אに対し

G(α) := g(X\∪β<α G(β))

で写像 G: א→P(X)∪{U} を定める. 明らかに,G(α)=G(β)≠U ならばα=βである. G(α)=U となるαが存在しないと仮定すると, G: א→P(X) は単射となる. しかしこれは¬א≦ |P(X)| に矛盾する. 従って G(α)=U となる順序数αが存在するので, そのようなαのうち最小のものを取る. このとき f := G|α とする. U = G(α) = g(X\∪β<α G(β)) だから, ∪β<α G(β)=X である. またβ < αに対し f(β) = G(β) = g(X\∪γ<β G(γ)) だから g の性質より |f(β)| ≦ mが分かる. よってこの f が条件を満たす.

定理2 選択公理
⇔集合 X が「任意の x∈X に対し |x|≧2 」を満たすとするとき, X 上の写像 f が存在して,任意の x∈X に対し f(x) ⊊ x, 0<|f(x)|<∞ を満たす.

証明 (⇒)明らか.

(←) {X_λ}_{λ∈Λ}を互いに素な非空集合の族とする. P := {A⊂∪_{λ∈Λ}X_λ | |A|≧2 } として P に仮定を適用し写像 f を得る. |A|=1 となるような A⊂∪_{λ∈Λ}X_λに対しては f(A) := A として f の定義を拡張しておく. S := ∪λ∈Λn∈N fn(Xλ)と置く. (但し fn は f のn回合成である.) このときSが{X_λ}_{λ∈Λ}の選択集合である.

定理3次の命題は(ZF上)同値.

  1. 選択公理
  2. 集合 X が「任意の x∈X に対し x≠ ∅ 」を満たすとするとき, X 上の写像 f が存在して「任意の x∈X に対し ∅ ≠ f(x)⊂x, |f(x)| は奇数」を満たす.
  3. 集合 X が「任意の x∈X に対し |x|≧2 」を満たすとするとき, X 上の写像 f が存在して「任意の x∈X に対し ∅ ≠ f(x)⊂x, |f(x)| は偶数」を満たす.

証明AMC ⇒選択公理により明らか.

定理3の条件2をOAC(=Odd Axiom of Choice),条件3をEAC(=Even Axiom of Choice)という. この証明は勿論基礎の公理が使われているが,実は基礎の公理無しで次のことが言える.

定理選択公理 ⇔ OACかつEAC

証明定理2を使う. 集合 X が「任意の x∈X に対し |x|≧2 」を満たすとする. X にEACを適用して写像 g を得る. 集合 { g(x) | x∈X }にOACを適用して写像 h を得る. このとき x∈X に対して f(x) := h(g(x)) と置けば 写像 f は「任意の x∈X に対し ∅ ≠f(x) ⊊ x, |f(x)|<∞」を満たす.

参考文献

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