2015年2月21日更新

線型空間の次元の一意性

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線型空間 V に基底 B があったとき,これの濃度 |B| を V の次元というが,これには一意性がある.即ち次の命題が知られている.

命題 B, C⊂V が共に V の基底であるとき,|B| = |C|.

ところが,この命題の証明には選択公理が必要なのである. それを示すため,以下のようにpermutationモデルを構成する.

アトム全体の集合 A が A=B∪C,B=∪n=0Bn,C=∪n=0Cn,Bn= { bn1, …, bn6 },Cn= { cn1, …, cn6 } と書けているとする.置換 αi, βi, γi∈S6 を以下のように定める.

α1 = (12)(34)(5)(6), α2 = (12)(34)(5)(6),
β1 = (13)(24)(5)(6), β2 = (12)(3)(4)(56),
γ1 = (14)(23)(5)(6), γ2 = (1)(2)(34)(56)

α∈Aut(A) を Bn 上 α1 のように, Cn 上 α2 のように作用するものとする. β, γ∈Aut(A) も同様に定める.

G= { g∈Aut(A) | 各n∈Nについて g|Bn∪Cn=1, α, β, γ }

として I := Pfin(A) によりpermutationモデル U を取る.X を B を基底とする実線型空間,Y を C を基底とする実線型空間とする.

命題 X ≅ Y である.

証明 Xn, Yn を Bn, Cn を基底とする 6 次元実線型空間とする.線型写像 fn: Xn→Yn を,次の行列により定める.

この行列の行列式は -8 となるので, fn は同型である. X ≅ ⊕ Xn , Y ≅ ⊕ Yn だから, fn から同型 f: X→Y が得られる.また計算すれば α2(f(α1-1(x))) = f(x),β2(f(β1-1(x))) = f(x),γ2(f(γ1-1(x))) = f(x) となることがわかる.故に任意の g∈G に対して g(f) = f である.よって f∈U .

命題 |B|≠|C| である.

証明 アレフ0≦|B| かつ アレフ0\not\leq|C| を示せばよい.

まず f: ω→B を f(n) := bn6 で定める.このとき明らかに f∈U で f は単射だから アレフ0≦|B| である.

次に f: ω→C が単射で f∈U とする. f のsupportを E とする. E = C0∪…∪Cn-1 としてよい. f が単射だから,ある m∈ω が存在して f(m) ∉ E となる.簡単のため, f(m) = ck1 とする. k≧n である.このとき g∈G を g|E = id,g|Ck2 とすれば g(f) = f だから

ck1 = f(m) = g(f)(m) = g(f(m)) = g(ck1) = α2(ck1) = ck2

となり矛盾する.

以上により

定理 線型空間の基底の濃度の一意性は ZFA で証明できない.

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