2016年5月21日更新

基数のなす順序集合

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選択公理の下では,基数全体がなすクラスは「整列」されているのであった.では選択公理がなかった場合はどうなるのであろうか? 実は「任意の順序が実現されうる」のである.

定理 (I, ≦) を順序集合とする. ZF において次の命題を仮定しても矛盾しない: ある集合 { Si | i∈I } が存在して, i, j∈I に対して「 i≦j ⇔ |Si|≦|Sj| 」となる.

証明 permutationモデルを構成する. (I, ≦)∈R(∅) を順序集合とする.単射 I∋i |→ { j∈I | j≦i } ∈P(I) により (I, ≦) は (P(I), ⊂) に埋め込まれるから,(P(I), ⊂) に対して主張を証明すればよい.

|A| = |I|・アレフ0 と仮定し, A = { ain | i∈I, n∈ω } と書く. p⊂I に対して Sp = { ain | i∈p, n∈ω } と置く.以下を満たすpermutationモデル V を構成すればよい.

G := { g∈Aut(A) | 任意の i∈I に対して g(S{i}) = S{i} } としてnormalイデアル Pfin(A)⊂P(A) から定まるpermutationモデルを V とする.

まず任意の g∈G に対して g(Sp)=Sp だから sym(Sp)=G,sym(h)=h である.よって { Sp | p⊂I } ∈V,h∈V である.

また p⊂q ならば Sp⊂Sq だから |Sp|≦|Sq| となる.

p⊂qでない,かつ |Sp|≦|Sq| と仮定する.単射 f: Sp→Sq で f∈V となるものを取る.ある E∈Pfin(A) が存在して fix(E)⊂sym(f) となる. i∈p\q を取り, m≠n を aim, ain ∉ E となるように取る.g∈G を

g(aik) := ain (k=mのとき)
g(aik) := aim (k=nのとき)
g(aik) := aik (それ以外のとき)

で定義すると g∈fix(E)⊂sym(f) だから g(f)=f となる.

f(aim)∈Sq だから, f(aim)=ajl と書けば j∈q となり j≠i なので g(ajl)=ajlである.一方,

f(ain) = f(g(aim)) = g(f)(g(aim)) = f(aim) = ajl

となるから f が単射であることに矛盾する.

参考文献

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