選択公理について
定義 Xを集合とするとき,次の条件を満たす写像 f: X\{∅} → ∪x∈X x を集合 X の選択関数という.
任意の非空集合 x∈X に対して f(x)∈x
次の命題を選択公理と呼ぶ.
選択公理 任意の集合は選択関数を持つ.
定義 全射 g: Λ→A をΛを添え字集合とする集合族という.Xλ := g(λ) と置いて,この集合族をで表すことが多い.また,次の条件を満たす写像f: Λ→を集合族の選択関数という.
任意のλ∈Λに対して f(λ)∈Xλ
集合族の選択関数全体からなる集合をで表す.f∈に対して xλ := f(λ) と置くとき,f = ( xλ )λ∈Λ 等と表すことがある.
定理 次のの命題は(ZF上)同値.
- 選択公理
- 非空集合の族に対して,選択関数が存在する.
- 互いに素な非空集合の族に対して,選択関数が存在する.
- 非空集合の族に対して,≠∅.
- 互いに素な非空集合の族に対して,≠∅.
- を互いに素な非空集合の族とするとき,ある集合 C が存在して「任意のλ∈Λに対し|Xλ∩C| = 1」を満たす.この C を選択集合という.
証明(1 ⇒ 2) 集合 { Xλ | λ∈Λ } の選択関数を g とすれば f(λ) := g(Xλ) がの選択関数である.
2⇒3 と 3⇒5 と 2⇒4 と 4⇒5 は明らか.
(5 ⇒ 6) を互いに素な非空集合の族とする.仮定5により元 ( xλ )λ∈Λ ∈が取れる.このとき C := { xλ | λ∈Λ } と置けばよい.
(6 ⇒ 1) X を集合とする.¬∅ ∈X としてよい.Y := { {x}×x }x∈X とすればY は互いに素な集合の族であるから,選択集合 C が存在する.このとき x∈X に対して C∩({x}×x) = { <x, f(x)> } と置けば f が X の選択関数である.
コメント
初歩の質問です。最初の式
f: X→∪x∈X x
において、一番右にある x は、元(要素)なのでしょうか。部分集合なのでしょうか。
記号 ∪ が和集合を表しているならば、 x を部分集合として
f: X→∪x∈X { x }
とでも書くべきでは?
xは元です。
Xは集合の集合なので和集合の取り方はこれでよいです。
はじめまして。唐突なコメント失礼します。
A……添え字集合
{X_a}……Aで添え字付けられた集合族(任意のa∊Aに対してX_aが定まっている)
このとき、任意のa∊Aについて、X_aが唯一つの元を持つ集合であるときでも、∏X_a≠∅を言うのに、選択公理は必要ですか?
返信遅くてすみません。その場合選択公理は不要です。
「次の命題」が一箇所「次のの命題」になっています。
X={φ}の場合に選択関数が存在しませんね。
なぜならば、X≠φかつ∪x∈X x =φだから。
選択関数は、f:X-{φ}→∪x∈X xとするのが
普通です。
誤植:記号φは∅のつもりでした。
修正しました。