2015年11月21日更新

対角線論法と選択公理は関係ない

※ここで言っている対角線論法は |N| < |R| を示すときに使うものです.

実際には選択公理と関係がないのに「選択公理を使う」と言われてしまうことは度々ありますが、その中でも特に頻繁に言われるのがこの「対角線論法」です.

|N| < |R| は以下のように示します. まず |R| = |(0, 1)| なので |N| < |(0, 1)| を示せば良いです. そこで (0, 1) が可算無限集合だと仮定して (0, 1) = { an | n∈N } と書きます. an を10進表記で an = 0.an0an1… と書き表し(1=0.999…の部分は適当に解決する), 各 n∈N について bn∈{ 0, 1, …, 9 } を bn≠ann となるように取ります. すると, b := 0.b0b1… とすれば明らかに b∈(0, 1) だが,どの n∈N についても b≠an となり矛盾.

この書き方だと確かに bn∈{ 0, 1, …, 9 } を「選択」しなければいけないように見えますが,この bn は明らかに具体的に指定可能ですから, 選択公理を使う必要はありません.(例えば ann=0 ならば bn := 1,ann≠0 ならば bn := 0,など.)